東京オジサウナのプレイリストを作りました。
「オジサンの散歩」というストーリー仕立てで、各シーンに合わせた選曲をしております。
それでは楽曲解説どうぞ。
1. Wool & The Pants 「Bottom Of Tokyo」
from 『Wool In The Pool』
太めなベースラインと少しよれたドラムで紡がれる単調なリズムに、単音引きのギターがだるそうに絡み続ける。 「それまでの生活はひどく貧しくて、わたしの性格もひどく貧しくて」という寂寥感と自虐が溢れる歌詞が、どこかシニカルに響く。
東京オジサウナのテーマを考えたときにまず思い浮かんだのがこの曲。 「くたびれたオジサン3人が東京をただひたすらに歩く」、そんなイメージにアルバムジャケットも楽曲タイトルもピッタリ。曲の雰囲気が斜に構えがちな我々3人の気質ともマッチ。
夕方4時、いつもの駅前で、いつもの3人が集合。さして言葉を交わすこと無く早々と散歩を開始したオジサンたちのシーンをイメージして選曲。
2. Justus West 「Control」
from 『Control』
また太いベースによるフレージングが繰り返される曲。ゆっくりと力強くうねるグルーヴが気持ちいい。 今度は気だるい日本語から一転、ソウルフルなボーカルがオシャレに響く。 ボーカルに強めにかけられた空間系エフェクトのおかげで、音数の足りなさを感じない。 後半になるに従い、コーラスが何重にも重ねられ、いつの間にかドラムも消えている、、これは、、まさに外気浴を彷彿とさせるリラックス感覚・・!! とまあ、若干21歳とは思えない曲の構成力に、とんでもないセンスを感じる。
「ああ、やはり散歩は気持ちいいものだ」と自らの趣味のありがたみを再認識しているオジサンたちをイメージして、歩くテンポに近いBPMの曲を選びました。
3. Jay Daniel 「Paradise Valley」
from 『Broken Knowz』
デトロイトハウスの文脈から生まれたのに、もう全然ハウスじゃない、なんかよくわからないダビーでドープな世界。これがポスト・デトロイト、、、Jay Danielだ・・・! ローファイで生々しいパーカッションに重ねられるシンセフレーズ。それらにJ Dillaを彷彿とさせるサインベースがうねり絡みつく。 空気感はもうヒップホップのほうが全然近い。のに全然ヒップホップじゃない。なにこれ。 そんなアヴァンギャルドさと、ぱぱっと作ってみました的な雑さが個人的にはカッコイイの塊。絵画のようなジャケもカッコイイの塊。
「ここ、フォトジェニックじゃね?」と暗くて怪しげな裏路地に入ってみたが、ドキドキソワソワしてきたオジサンたちをイメージして選曲。
4. Makaya McCraven 「The Jaunt」
from 『In the Moment』
東京の地下バーにいるかのような喧騒にまぎれて、ウッドベースが存在感たっぷりに鳴り響く。 ビブラフォンのゆらぎとともに3連符のリムショットがポリリズムのようでそうでない不思議なグルーヴを生む。 これまた曲のジャンルを聞かれると答えに窮する、型にはまらない音楽。 新進気鋭のジャズドラマー、マカヤマクレイヴン。ジャズ畑出身なのにヒップなセンスを兼ね備えたトラックメーカーでもあり、音楽批評家の柳樂光隆氏や原雅明氏も研究する新しいジャズの地平を切り開いている一人。彼のセンセーショナルなファーストアルバムから、インパクトのある冒頭曲をチョイスしました。
裏路地にはオシャレな立ち飲みバーがあったので、一杯引っかけてみたオジサンたちの場面をイメージして選曲。
5. Damu The Fudgemunk, Archie Shepp, Raw Poetic 「Learning to Breathe - Extended Mix」
シングルコイルのギターから始まり、、、暴れまくるジャズのインプロが鳴り響き、、、そしてスクラッチ、、、からのラップ!! 怒涛に迫る目まぐるしきジャンル横断なカッコよさの連鎖にちびる。 当方、ラッパーのCommonが大好きなので、Damu Theの声のダンディズムがまたツボ。
アルコールも入ってテンション上がってきたオジサンたちの心境をイメージして選曲。
6. Abstract Orchestra 「Accordion」
from 『Madvillain, Vol. 1』
ホーン隊のリフが何度も何度も、楽器編成を少しずつで繰り返し続ける。バンドでやっても冗長さを感じさせない展開、これぞヒップホップの新しいカタチ。 J Dillaの名曲を生楽器演奏でカバーして一躍有名になったAbstract Orchestra。 彼らが次のカバーアルバムの対象に選んだのが、Madvillain(Madlib, MF DOOMのコラボ)でした。 このAccordionは超名曲。ちなみにFour tetによるRemixも存在しており、それもめっちゃくちゃカッコイイ。
散歩を再開し、アルコールのおかげで気が大きくなり、大仰に胸を貼って闊歩を始めたオジサンたちをイメージして選曲。
7. August Greene 「Optimistic」
from 『August Greene』
超絶上手いプレイヤー達による、超絶オシャレなR&B。 Common、Robert Glasper、Karriem Rigginsによる最強のコラボ・ユニット、August Greene。 ユニット名と同名のアルバムに収録された、R&Bの名手Brandyを迎えてのキラーチューンがこれ。 ただただ夢のコラボ楽曲。Bメロが6小節になっててクセノ効いた浮遊感のある曲展開がまたよき。
調子に乗ってオシャレぶってオフィス街に近い高級ホテルのラウンジカフェに入ってしまったオジサンたちをイメージして選曲。
8. Gonzales 「Manifesto」
from 『Solo Piano』
ここで雰囲気が一転、哀愁漂う叙情的なピアノ・ソロ。 クラシックともジャズともポップとも言えないなんとも絶妙なライン、これぞチリー・ゴンザレス節。 ポツリとただそこにあるピアノで奏でられた、侘しさ。 有名すぎるアルバム「Solo Piano」第一弾の2曲目をチョイス。
あまりの場違いさに赤面して早々にラウンジから退散、「身の丈を知るべし」と自戒の念に苛まれるオジサンたちの苦悩をイメージして選曲。
9. Phil Ranelin 「Vibes From The Tribe」
from 『Vibes From The Tribe』
シンバルを擦ったような耳障りの悪い金属音と、狼の遠吠えのようなホーンの高音が約40秒。。。 ホラーとも思えるただならぬ雰囲気を醸すイントロから、ヒップでホップな乾いたドラムが聞こえて来る。 永遠に繰り返されるベースリフに少しずつ形を変えるホーンリフが絡み、極めつけにワウが効いた不協和音ギリギリのエレピのバッキングが裏で暴れることで、アフロな異国風味が醸し出されている。 70年代のトロンボニスト、Phil Ranellineの名盤から同名の代表曲をチョイス。
やっぱり俺たちにはこの排気ガスにまみれたコンクリート・ジャングルをただサンダルで歩き続けるのが似合っている、とありのままの自分を再認識し、一歩ずつゆっくりと歩み始めたオジサンをイメージして選曲。
10. The Funkees 「Akula Owu Onyeara」
from 『Dancing Time』
アクラ!!と明朗快活な一声から始まるアフロ・ビート。というかアフロ・ファンク。 勝手に体が動き出す、、、こんなにプリミティヴな本能を刺激する曲がありますでしょうか。 70年代、フェラ・クティと同時代にナイジェリアで活動開始したThe Funkeesの名曲。 ちなみに私はA Film About Coffeeという映画でこの曲が流れていて、速攻Shazamして知りました。
「あ!!!そうだ!!!サウナいこ!!おれたちには大好きなサウナがあったんだった!!サウナサウナーーー!!!」と満面の笑みで走るオジサンたちをイメージして選曲。